2014年7月1日火曜日

エフェクターの電源を考える その2

エフェクターの電源を考える その2


歪みを元気にする!! & 使い古しのマンガン電池?

歪み系のエフェクターに、少し高めの電圧をかけると、音に艶やハリが出るとかの話しもあり、12V~18Vのアダプターも有るようです。(自己責任で使うということでしょうが)

一方「電圧が下がった、使い古したマンガン電池を使った方が音が良い」という話しを時々目にします。
それをシュミレートするような電源も売られているようですし、VHTのエフェクター「V-Drive」は、内部の電圧を調節するツマミが付いていて、約5Vまで下げられるようです。(上げることは出来ない)



(↑VOLTAGEと書いてある小さなツマミが電圧調節。下げると粗い音になる。)


電源を考える、その2では、ACアダプター使用で
・エフェクターが元気になる(場合も有る)簡単なアイテム
・「使い古しで消耗したマンガン電池」風にしてみる簡単なアイテム
を製作してみました。

元気になる(場合も有る)アイテム

まずは、説明。
ACアダプターをコンセントに差し込んでアダプターのコードをエフェクターに刺す訳ですが、そのコードは1.5メートルくらいの長さは有る訳です。
マルチコードで分岐するとその先にまた50センチ~1メートルくらいのコードが付いてしまう訳です。
そのコードには小さいとはいえ抵抗分が有りますし、アダプターには内部の抵抗分もあります。(スイッチングタイプは過負荷にならなければほとんど無いといえるらしいですが)
抵抗に電流が流れると電圧降下が起こりますので、電流が増えれば電圧降下も増えてエフェクターに届く電圧は下がります。

実はエフェクターは常に一定の電流を消費しているわけではありません。
音声信号が入ってくれば、例えば「歪ます」という仕事をするわけですから、消費する電流は増えます。
音が入ってくれば電流が増える、無音になれば減る、と常に変動する訳です。
そうなると、先ほどのアダプターからエフェクターまでの抵抗分によって電圧も細かく変動してしまいます。
特に大きな音が入ってきて、パワフルに出力しようとした瞬間に多くの電流を要求すると抵抗分によって電圧降下が大きくなって、必要な電流も十分に届かず、「頭打ち」な出力になってしまったりすると考えられます。
(ややこしい書き方になってしまいましたが、抵抗と電流と電圧は密接に関連してます。→オームの法則)

話しはちょっと脇道にずれますが、バックアップコンデンサといわれるものがあります。
これは電子回路の実装時にIC(特にデジタル)の電源ピンのすぐ近く(物理的に)にコンデンサを付けるのです。
ICも動作状態によって電流が変化しますが、電源回路からICまでのわずかな抵抗分によって電圧変動が起こってしまうのです。(先ほどの話しと同じです)
その時バックアップコンデンサはすぐ近くにある「小さな蓄電池」的な働きをして、下がった分の電圧を補ってくれます。
コンデンサの基本動作は電圧がかかると蓄電し、電圧が下がったり無くなった時に放電するのです。
ですから、ICにとっては電圧変動が少なくなって安定した動作が出来る事になります。

同じ事をエフェクターにしてみました。


DCプラグにコンデンサを入れてみました。
手元にあった330μ16V電解コンデンサです。
極性が有りますので、センターピンにコンデンサのマイナスマークを合わせて半田付けします。
コンデンサのマイナスリード線には絶縁チューブを忘れずに!


熱収縮チューブでカバーして出来上がり。
これを、ACアダプターとエフェクターの間に入れます。

テストしてみたのはこれ↓

自作の歪み系2台、左がDOD250のレプリカ、右はLandgraff オーバードライブを基本にアレンジした物で、回路的にはTS系と言われる物です。(この2つの中身などはまたの機会に・・・)

結果は「びみょー」に元気になります。(あくまでも私の主観ですので・・・)
ハッキリ分かるのは250をフルにした時で、やはり「一番頑張らせた時」でした。
TS系の方もダンブルモードでかなりきつめにかけると違いがはっきり出てきます。
どちらもおとなしめにかけるときにはあまり分かりませんでした。

ハードに歪ますせる時には、ピッキングのレスポンス、音の立ち上がり、各弦の分離、パワー感、などが明瞭になり、少し元気になります。

ただ、エフェクターやACアダプターとの相性もかなり有ると思います。
内部の電源回路やアダプター自体がしっかりしている場合は効果(変化)がほとんど出ないと思います。

次!

「使い古したマンガン電池」風にしてみるアイテム


まずは、説明。
使い古しの消耗した電池は、電圧が下がっています。
が、今回上の説明にも少し出ましたが、「内部抵抗」も考慮しました。
電池自体にも内部抵抗があり、上に書いた関係のように、流れる電流値によって電圧降下してしまいます。
内部抵抗が小さければ電圧降下も小さくなります。
で、手元にあった電池の内部抵抗を計ってみました。

・少し消耗した9Vマンガン電池・・・無負荷電圧8.4V・・・内部抵抗は273Ω
・かなり消耗した9Vアルカリ電池・・無負荷電圧7.3V・・・内部抵抗は47Ω

アルカリよりマンガンの方がかなり大きいです。
マンガン電池の方が良いというのはこの違いが大きいのではないかと・・・
電流変化による電圧変動が大きい訳です。

マンガン電池は電源の質的にはかなり悪い状態ですが、「良い音」「好みの音」「気に入った音」「演奏しやすい音」が出るならそれで良い事なのでやってみます。


電圧を下げる為に整流ダイオードを3連接続、これで0.7V×3で約2Vぐらい下がるはずです。
その先に300Ωの抵抗、電池の内部抵抗の代わりで、これで電圧変動が大きくなるはずです。



DCプラグのプラス側(リング)にダイオードの向きを合わせて半田付け。
マイナス側だと、電源をマルチ分岐させた場合、他のエフェクターに接続したパッチコードからグランドラインが回り込んで、無効になってしまいます。



熱収縮チューブでカバーして出来上がり。

これを、ACアダプターとエフェクターの間に入れます。

テストしたのは先ほどの2台。
一応電圧を測ってみると、

・アダプターからの電圧・・・9.21V
・250の電圧・・・6.95V
・TS系の電圧・・・5.95V

かなり下がっています。(共に入力無音)
2台で違うのは、消費電流の違いが電圧降下の違いになっているのだと思います。

音は、2台共通して、明らかに歪みが粗くなり、音量変化的には頭打ちで平坦になります。
悪い音ということではないです、この「粗さ」が良いというのも解ります。

ACアダプターの質、ダイオードの数や抵抗値の組み合わせで、ニュアンスが違ってくるでしょう。
無理に電池を消耗させなくても「使い古した電池の音」をいつでも安定して出せる便利アイテムです。

今回の2つのアイテムは電源に対するアプローチが正反対です、「安定させる」と「不安定にする」
最終的に「どんな音にしたいか」「どんな音が適しているか」などが重要なのでどちらも有りでセレクトすれば良い事だと思います。


やっぱり電源は大事。今日はここまで。・・・つづく・・・たぶん

0 件のコメント:

コメントを投稿